上場とは|株式上場のメリットやデメリットなどをわかりやすく解説
上場とは、企業が自社の株式を証券取引所に公開し、一般の投資家が市場で自由に売買できるようにすることです。
企業は上場することで、多くの投資家から資金を集めやすくなり、事業の拡大や成長に役立てることができます。
本記事では、上場の意味やメリット・デメリット、よくある質問などをわかりやすく解説します。
※OANDA証券では株式取引をサービスとして提供していません。本記事は株式取引に関する一般的な知識を提供することを目的としています。
上場とは
株式上場とは何か、また非上場との違いについて解説します。
- ・株式上場とは
- ・非上場との違い
株式上場とは
株式上場とは、企業が自社の株式を証券取引所に公開し、一般の投資家が自由に売買できるようにすることです。
上場はどの企業でもできるわけではなく、証券取引所が定める財務状況やガバナンス体制などの基準を満たし、厳正な審査を通過する必要があります。
この基準をクリアした企業だけが、上場の資格を得ることができます。
上場を果たした企業は、一般的に「上場企業」と呼ばれます。
上場することで企業は幅広い資金調達が可能となり、事業の拡大や成長に向けた環境が整いやすくなります。
非上場との違い
上場と非上場の最大の違いは「株式を証券取引所に公開しているかどうか」です。
上場企業は株式を証券取引所に公開しているため、多くの投資家が自由にその株を売買できます。
一方、非上場企業も株式を発行していますが、証券取引所で公開されないため、一般の投資家が売買することは基本的にできません(ただし、企業と株主の合意があれば、当事者間での売買は可能です)。
なお、日本取引所グループによると、上場している企業数は2025年6月時点で約4,000社です。
上場企業は日本全体のごく一部にすぎず、9割以上は非上場企業が占めています。
上場市場の種類
日本最大の証券取引所として知られているのが、東京証券取引所です。
東京証券取引所の市場区分には、プライム、スタンダード、グロース、TOKYO PRO Marketの4種類があり、それぞれ特徴や上場企業数などが異なります。
市場名 | 対象企業 | 特徴 | 上場企業数 (2025年6月6日時点) |
---|---|---|---|
プライム | 大企業 | 高い流動性とガバナンス水準を備えた企業向けの市場。上場基準は厳しめ | 1,627社 |
スタンダード | 中堅企業 | 安定した経営基盤を持つ企業向けの市場。上場基準はプライムより緩やか | 1,573社 |
グロース | 新興企業 | 高い成長性を持つ企業向けの市場。上場基準は緩やか。投資対象としてはリスクも相応にある | 613社 |
TOKYO PRO Market | プロ投資家向け | 主にプロ投資家を対象とした市場。上場基準が他の市場と異なり、情報開示義務は限定的 | 142社 |
また、日本には東京証券取引所のほかに、名古屋証券取引所(プレミア市場・メイン市場・ネクスト市場)、福岡証券取引所(本則市場・Q-Board・Fukuoka PRO Market)、札幌証券取引所(本則市場・アンビシャス市場)といった地方の証券取引所もあります。
東京証券取引所に比べて上場企業数は少ないですが、地域に根ざした中小・中堅企業が多く上場しているのが特徴です。
上場の主なメリット
企業が上場することによって得られるメリットは、主に以下の4点です。
- ・社会的信用力と知名度が向上する
- ・資金調達や人材確保がしやすくなる
- ・社内の管理体制が強化される
- ・キャピタルゲインが期待できる
社会的信用力と知名度が向上する
上場して株式を証券取引所に公開することで、企業としての信頼性や知名度が高まり、市場やメディアからの注目も集まりやすくなります。
また、取引先や顧客からの信用も得やすくなり、新規案件の獲得や取引の拡大など、ビジネスの成長にもつながりやすいです。
資金調達や人材確保がしやすくなる
株式発行を通じて広く資金を集めることができ、銀行からの融資も受けやすくなります。
さらに、上場企業であることの信頼性や安定性が、優秀な人材獲得を後押しする点も大きなメリットです。
ストックオプションなどのインセンティブ制度も導入しやすくなり、従業員のモチベーション向上や企業への貢献意識の強化が期待できます。
社内の管理体制が強化される
上場すると、上場企業として規模に見合った監査体制や情報開示義務が求められるため、ガバナンスや内部管理の仕組みが自然と整備されやすくなります。
その結果、経営の透明性や効率性の向上が期待でき、持続的な成長の基盤構築につながる可能性があります。
キャピタルゲインが期待できる
上場により株式が売買可能になると、その株式を保有する株主は株価上昇時に売却することでキャピタルゲインを得られる可能性があります。
また、従業員持ち株制度やストックオプションを導入している場合、企業の成長に伴う株価上昇は、従業員の保有株式の含み益を生み、モチベーション向上にもつながります。
上場の主なデメリット
企業が上場するには、以下のようなデメリットもあります。
- ・準備や維持コストがかかる
- ・開示義務と経営の透明性確保に伴う負担がある
- ・株主からの圧力や買収リスクがある
準備や維持コストがかかる
上場には多くの費用と手続きが必要です。
準備段階では、監査法人や証券会社、弁護士などの専門家に依頼する必要があり、その費用は数千万円~1億円前後にのぼることもあります。
加えて、社内体制の整備やIR(インベスターリレーションズ)対応などの人的・時間的コストもかかります。
上場後も費用負担は続き、証券取引所への上場料をはじめ、監査や情報開示にかかる費用などで年間数百万円~数千万円規模の維持費が発生します。
開示義務と経営の透明性確保に伴う負担がある
上場企業は、財務情報や経営情報、企業活動に関するさまざまな情報を定期的に開示する義務があります。
そのため、情報の収集・管理・開示にかかる業務負担が非常に大きくなります。
こうした取り組みで経営の透明性は高まりますが、一方で株主や投資家からの厳しい目にさらされることにもなります。
さらに、情報公開に伴うリスク管理や法令遵守の対応も求められるため、内部管理体制の強化が不可欠となり、企業にとっては一層の負担となります。
株主からの圧力や買収リスクがある
上場により多くの株主が経営に参画することで、株主からの意見や要求が増え、経営陣に対するプレッシャーが強まる場合があります。
また、株式の公開により、敵対的買収など外部からの買収リスクが高まる可能性がある点もデメリットです。
上場に関するQ&A
上場に関するよくある質問に回答していきます。
- ・東京メトロはいつ上場しましたか?
- ・サントリーが上場しないのはなぜですか?
- ・上場企業はどこで確認できますか?
東京メトロはいつ上場しましたか?
東京メトロ(東京地下鉄株式会社)は、2024年10月23日に東京証券取引所のプライム市場に上場しています。
初値ベースの時価総額は約9,500億円で、大規模なIPO(新規公開株式)となり、注目を集めました。
初値は売り出し価格(1,200円)より3割以上高い1,630円、終値は1,739円でした。
サントリーが上場しないのはなぜですか?
サントリー(サントリーホールディングス株式会社)が上場しない主な理由は、創業者一族が主導する安定した経営体制を維持し、長期的視点で事業を運営することを重視しているためだとされています。
上場すると株主への対応や短期的な業績目標の達成が求められるようになり、経営の自由度が制約される可能性があります。
そうした外部からのプレッシャーを避け、本業に集中できる経営体制を確保することを優先していると考えられます。
また、自社で十分な資金調達力を備えており、外部資本に依存する必要がない点も非上場を維持する理由の1つです。
上場企業はどこで確認できますか?
上場企業の情報は、以下のような公的機関や金融情報サイトなどで確認できます。
・日本取引所グループの公式サイト「上場会社情報」から上場企業一覧や銘柄情報を閲覧可能です。
https://www.jpx.co.jp/ ・金融庁のEDINET(エディネット)金融庁が運営する電子開示システムで、上場企業の有価証券報告書や半期報告書など、上場企業による開示資料を検索・閲覧できます。
https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/ ・証券会社のサイトや株式情報サイト証券会社の公式サイトや株式情報サイトでは、上場企業の基本情報や株価、財務状況、ニュースなどを確認できます。
【まとめ】上場とは|株式上場のメリットやデメリットなどをわかりやすく解説
上場とは、企業が自社の株式を証券取引所に公開することです。
これにより、一般の投資家がその企業の株式を市場で自由に売買できるようになります。
企業が上場によって得られる主なメリットとしては、「社会的信用力と知名度が向上する」「資金調達や人材確保がしやすくなる」「社内の管理体制が強化される」「キャピタルゲインが期待できる」の4点が挙げられます。
上場企業は、投資家だけでなく社会全体からも注目を浴びる存在で、適切な情報開示と健全な経営が求められます。
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